バットマン・ビギンズ
わたしには「バットマンシリーズ」への思い入れもないし、
これまで映画化された作品は1本も観ていない。
だからこの作品も、
監督が「メメント」のクリストファー・ノーランだと知らなかったら、
絶対観に行くことはなかっただろう。
ていうか、あやうくこの大傑作を見逃すところだったぜ、まったく!
アメコミが原作のヒーローものとはいえ、
全体を覆い尽くすダークなトーンは、
まさにクリストファー・ノーランの世界だ。
張り巡らされた伏線が絶妙のタイミングで回収されていく快感。
記憶に残る粋な会話と、所々に散りばめられたユーモアのある台詞。
「いい脚本だなあ。いったい誰?」
と思ったら、監督が共同脚本を兼ねていました。
そういえば、「メメント」も監督&脚本だったもんなあ。
そして、主役のクリスチャン・ベールをはじめ、
適材適所でありながら、
良い意味で予想を裏切られる役者の使い方が映画ファンには嬉しい、
贅沢なキャスティング。
特に、ゲイリー・オールドマンの地味で善良な警官役は、
エンドロールを見て初めて彼だと知った人も多いようだ。
わたしは事前に知っていたので、
キレる役が多い彼の、「いい人」な演技を堪能したが。
音楽もいいし、照明もいい。
CGを極力使わなかったというカーチェイスの迫力もなかなかである。
ただ、殴り合いのアクションシーンは、カメラが寄りすぎていて
「何やってるかわからん!」だったところが、
個人的には唯一のマイナス点かな。
過去の「バットマン」映画が好きな人には、
もの足りない作品かもしれませんが、
個人的には、2005年初の5つ星をつけさせていただきます。
★★★★★